薬剤師の休みが多い職場はどこ?年間休日120日以上を実現する働き方

薬剤師 休み 多い

「薬剤師として働きたいけど、しっかり休みが取れる職場で働きたい」「今の職場は休みが少なくて転職を考えている」そんな悩みをお持ちではありませんか。

薬剤師の休暇事情は職場によって大きく異なり、年間休日105日から130日以上まで幅があります。

この記事では、休みが多い職場の選び方から、具体的な転職のポイントまで、現役薬剤師や転職を考えている方に役立つ情報を詳しく解説します。

薬剤師の年間休日の実態:本当に休みは少ないのか?

薬剤師の平均的な年間休日数

薬剤師の年間休日は、職場の種類や勤務形態によって大きく異なりますが、一般的には年間105日〜120日程度が多いとされています。
厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」によると、日本企業全体の年間休日総数の平均は107日です。この数値と比較すると、薬剤師の休みが特別少ないとは言えません。
引用元:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」


ただし、職場によっては休日数が十分でないと感じるケースもあります。連休が取りにくい、年末年始やお盆の休みが少ないなど、休日の「質」に不満を持つ薬剤師も少なくありません。

年間休日120日以上が「休みが多い」基準

年間休日120日以上は、ワークライフバランスを重視する薬剤師にとって一つの目安となる数字です。
年間休日120日の内訳は以下の通りです。


週休2日(年52週×2日)= 104日
国民の祝日 = 約16日
年間休日合計 = 約120日


これに夏季休暇や年末年始休暇が加わると、年間休日125日以上となる職場もあります。このような職場であれば、プライベートの時間を十分に確保しながら働くことができるでしょう。

職場別で見る薬剤師の休日事情:どこが休みを取りやすい?

 

薬剤師が働く主な職場について、それぞれの休日事情を詳しく見ていきましょう。

調剤薬局:門前薬局の種類で大きく変わる

調剤薬局の休日は、近隣の医療機関の休診日に左右されるのが大きな特徴です。


総合病院の門前薬局
土日休みが基本
祝日も休みのケースが多い
年間休日:120日前後
薬剤師の人数も多く、休みの調整がしやすい


個人クリニックの門前薬局
医療機関に合わせた休日設定
平日1日+日曜祝日のパターンが多い
土曜午後のみ休みなど、半日休みも多い
年間休日:105〜115日程度


大型チェーン薬局
広範囲の医療機関からの処方箋に対応
曜日に関係なく営業
シフト制での勤務
週休2日制だが、土日休みとは限らない
年間休日:110〜120日程度

ドラッグストア:スタッフ数が休みやすさのカギ

ドラッグストアは基本的に年中無休での営業が多く、薬剤師はシフト制で勤務します。


週休2日制が基本
土日祝日は営業するため、平日休みが中心
年間休日:100〜115日程度
スタッフが多い大型店舗では、連休や長期休暇が取りやすい


休みやすい環境を見極めるポイント
・薬剤師の在籍人数が多い店舗を選ぶ
・シフトの柔軟性を確認する
・希望休の通りやすさを事前に確認
ドラッグストアでも、スタッフ数が多い店舗であれば、シフト調整がしやすく、希望する休みを取得しやすい傾向にあります。

病院:急性期と慢性期で大きな違い

病院薬剤師の休日事情は、病院の種類によって大きく異なります。


慢性期病院・療養型病院
土日休みが基本
夜勤や当直が少ない
年間休日:120日前後
生活リズムが安定しやすい
プライベートの時間を確保しやすい


急性期病院・総合病院
交代勤務制(二交代制・三交代制)
夜勤・当直あり
曜日固定の休みではない
年末年始やゴールデンウィークも出勤の可能性
まとまった休みが取りにくい

企業薬剤師:安定した土日祝休みを実現

製薬会社や医薬品卸企業などの企業薬剤師は、休みの取りやすさでは最も恵まれた環境と言えます。

 

製薬会社
完全週休2日制(土日祝休み)
夏季休暇、年末年始休暇あり
年間休日:125日以上も可能
フレックス制度を導入している企業も
MR職の場合は、休日に勉強会や学会参加の可能性あり

 

医薬品卸企業
完全週休2日制(土日祝休み)
お盆や年末年始の長期休暇が取りやすい
年間休日:120〜130日
転勤やノルマがある場合も

 

公務員薬剤師
土日祝休みが基本
完全週休2日制
初年度から有給休暇が多い
年間休日:120日以上
安定したリズムで生活できる
ただし、パンデミックなど公衆衛生上の緊急時は残業・休日出勤の可能性


厚生労働省の調査データと照らし合わせると、企業薬剤師の休日数は民間企業の平均を上回る水準にあり、ワークライフバランスを重視する薬剤師にとって魅力的な選択肢となっています。

休みが多い職場を見極める5つのチェックポイント

 

転職や就職活動で、実際に休みが取りやすい職場かどうかを見極めるためのポイントをご紹介します。

1. 年間休日数を必ず確認する

求人票に記載されている年間休日数を確認しましょう。


105日未満:労働基準法の最低ラインに近い
105〜115日:平均的な水準
120日以上:休日が多い職場
125日以上:非常に恵まれた環境


注意点:年間休日のカウント方法 調剤薬局では、半日休みを1日としてカウントしている場合と、していない場合があります。「木曜午後休み」「土曜午後休み」を2日で1日とカウントする企業もあるため、実際の勤務時間を確認することが重要です。

2. 週休制の形態を理解する

 

求人票に記載されている週休制の種類を正しく理解しましょう。


完全週休2日制:毎週必ず2日以上の休みがある
週休2日制:月に1回以上週2日の休みがある週がある(他の週は週1日休みの可能性も)
4週8休:4週間で合計8日の休み(週によって休日数にばらつきあり)
4週6休:4週間で合計6日の休み


完全週休2日制であっても、土日休みとは限りません。「日曜+平日1日」「シフト制で週2日」なども完全週休2日制に含まれます。土日休み希望の場合は、明確に「土日休み」と記載されているか確認しましょう。

3. 有給休暇の取得率を確認する

年間休日数だけでなく、有給休暇の取得しやすさも重要なポイントです。
年間休日120日でも有給休暇がまったく取れない職場よりも、年間休日110日でも有給休暇を全て消化できる職場の方が、実質的な休日数は多くなります。
面接時に以下を確認しましょう。


・有給休暇の平均取得日数
・有給休暇の取得しやすい雰囲気か
・連続休暇(5日以上)の取得実績


厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」によると、労働者1人あたりの年次有給休暇の平均取得日数は8.8日、取得率は58.3%となっています。この数値を基準に、応募先の職場の取得率を比較してみましょう。
引用元:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」

4. 薬剤師の在籍人数を確認する

職場の薬剤師在籍人数は、休みの取りやすさに直結します。


薬剤師が1〜2名の小規模職場:休みの調整が難しい
薬剤師が5名以上の職場:シフトの融通が利きやすい
複数店舗展開している企業:応援体制があり休みやすい


特に子育て中の薬剤師や、突発的な休みが必要になる可能性がある方は、人員に余裕のある職場を選ぶことをおすすめします。

5. 職場見学で実態を確かめる

求人票の情報だけでは分からない職場の実態を、必ず事前に確認しましょう。


職場見学で確認すべきポイント
・スタッフの雰囲気や働き方
・残業の有無と頻度
・休日出勤の実態
・繁忙期の状況
・休憩時間の取得状況


面接時には、以下のような質問をしてみましょう。
「月の平均残業時間はどのくらいですか」
「連休の取得実績はありますか」
「年末年始やゴールデンウィークの休暇はどうなっていますか」

ライフスタイル別:理想の休み方を実現する職場選び

 

あなたのライフスタイルに合わせた、最適な職場選びのポイントをご紹介します。

離職率の低い職場の見極め方

大規模チェーンでは転勤が頻繁にあり、離職率が高くなる傾向があります。一方で、小規模薬局では人間関係が固定化しやすいという側面もあるため、自分の性格や希望に合った職場を選ぶことが大切です。

土日休みを絶対に確保したい方

おすすめの職場
総合病院の門前薬局
慢性期病院・療養型病院
製薬会社(研究職・開発職・MR)
医薬品卸企業
公務員薬剤師


ポイント: 土曜日休診の医療機関の門前薬局を選ぶ際は、近隣の医療機関の休診日を事前に確認しましょう。また、企業薬剤師を目指す場合は、MR職では休日に勉強会や学会参加がある可能性も考慮する必要があります。

年間休日の多さを最優先したい方

おすすめの職場
製薬会社(年間休日125日以上も可能)
医薬品卸企業(年間休日120〜130日)
公務員薬剤師(年間休日120日以上)
総合病院の門前薬局(年間休日120日前後)


注意点: 年間休日数だけでなく、連休の取りやすさや、夏季休暇・年末年始休暇の有無も確認しましょう。求人票には「年間休日125日」と記載されていても、祝日が休みかどうかは別途確認が必要です。

子育てと両立したい方

おすすめの職場
土日祝休みの門前薬局
慢性期病院・療養型病院
パート・アルバイト勤務
在宅訪問薬局(時間の融通が利きやすい場合も)


選び方のコツ
薬剤師の在籍人数が多い職場を選ぶ
他店舗からの応援体制がある企業を選ぶ
子育て支援制度(時短勤務、育児休暇など)が充実している企業
急な休みに対応してもらいやすい環境か確認


子どもが小さいうちはパート勤務、手が離れてから正社員に復帰という働き方も、薬剤師ならではの柔軟なキャリア形成が可能です。

連休・長期休暇を取りたい方

おすすめの職場
大手チェーンのドラッグストア(スタッフ数が多い店舗)
製薬会社・医薬品卸企業
複数店舗展開している調剤薬局チェーン


ポイント: ドラッグストアは年中無休の店舗が多いものの、スタッフ数が多ければシフト調整がしやすく、連休や長期休暇を取得しやすい特徴があります。複数の薬剤師で業務をカバーできる体制が整っているかが重要です。

休みの多い職場に転職する際の注意点

 

休みの多さだけで職場を選ぶのではなく、総合的に判断することが大切です。

給与とのバランスを考える

一般的に、休みが多い職場は給与が低めに設定されている傾向があります。


企業薬剤師:休日は多いが、調剤薬局やドラッグストアより給与は低い場合も
慢性期病院:急性期病院より給与が低い傾向
パート勤務:時給は高いが、ボーナスや退職金がない


自分のライフスタイルや将来設計に合わせて、給与と休日のバランスを検討しましょう。

キャリアアップの機会を確認する

休みが多い職場では、以下のような点も確認しておきましょう。


・研修制度の充実度
・資格取得支援の有無
・キャリアパスの明確さ
・スキルアップの機会


慢性期病院や企業薬剤師は、急性期病院や調剤薬局と比べて、取り扱う医薬品の種類や症例が限られる場合があります。将来的なキャリアも視野に入れて選択しましょう。

勤務地と通勤時間も重要

休日が多くても、通勤時間が長ければ実質的な自由時間は減ってしまいます。


・通勤時間は片道1時間以内が理想
・駅近の職場を選ぶ
・転勤の可能性も確認


特に企業薬剤師やチェーン薬局では、転勤の可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

転職エージェントを活用して理想の職場を見つける方法

 

休みの多い職場に効率的に転職するには、薬剤師専門の転職エージェントを活用するのがおすすめです。

転職エージェントのメリット

非公開求人へのアクセス
・年間休日120日以上の好条件求人が多い
・一般には公開されていない優良求人


詳細な内部情報の提供
・実際の年間休日数
・有給休暇の取得率
・職場の雰囲気や人間関係
・残業の実態


条件交渉のサポート
・年間休日数の確認
・休日に関する希望の伝達
・給与との兼ね合いの調整


職場見学や面接の同行
・聞きにくい質問の代行
・客観的な視点でのアドバイス

こんな方は転職エージェントの利用がおすすめ

初めて転職する方
在職中で時間が限られている方
休みの多い職場を効率的に探したい方
職場の内部情報を知りたい方
条件交渉に不安がある方

まとめ

 

薬剤師の休日事情は職場によって大きく異なり、年間休日105日から130日以上まで幅があります。「休みが多い」と感じる基準も人それぞれです。土日休みを重視する方、連休を取りたい方、年間の総休日数を重視する方など、ライフスタイルによって理想の働き方は異なります。


重要なのは、自分にとって何が最も大切かを明確にし、それに合った職場を選ぶことです。年間休日数だけでなく、有給休暇の取得しやすさ、週休制の形態、職場の人員体制なども総合的に判断しましょう。転職を検討する際は、求人票の情報だけでなく、職場見学や転職エージェントを活用して、実態をしっかりと確認することが成功のカギとなります。


あなたのライフスタイルに合った、理想の職場で充実した薬剤師キャリアを築いていきましょう。

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監修 薬進キャリアサポート代表エージェント
キャリアコンサルタント

田井 靖人

2013年摂南大学法学部を卒業後、不動産業界で土地活用事業に従事。
2019年から医療人材業界へ転身し、薬剤師と医療機関双方に寄り添う採用支援に携わる。
現在は薬剤師が“自分らしく働ける環境”を広げるべく、現場のリアルやキャリアのヒントを発信。 座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。どんな経験も糧に変え、薬剤師の未来を支える言葉を届けている。

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