「病院の診察が終わったのに、薬局がもう閉まっていた」そんな経験はありませんか。薬局の営業時間は施設によって大きく異なり、薬剤師の働き方にも直結しています。
本記事では、調剤薬局やドラッグストアの営業時間の実態、薬剤師の勤務体系、そして夜間・24時間対応の薬局について詳しく解説します。
薬局の営業時間と薬剤師の勤務時間
薬局の営業時間は、近隣の医療機関の診療時間や地域のニーズに合わせて設定されています。ここでは、薬局の種類別に営業時間の特徴を見ていきましょう。
調剤薬局の一般的な営業時間
調剤薬局は近くの病院やクリニックの診察日と診療時間に合わせて営業しており、多くの薬局では平日の日中がメインとなっています。薬剤師は朝8時から9時頃に出勤し、17時から18時頃に退勤するケースが一般的です。
薬局によって開局時間は異なりますが、18時から20時までの間で開局時間を調整しているところが多いのが実情です。
営業時間の実態
平日の営業日で午前8時から午後7時までに8時間以上連続して開局している薬局は、全体の88.9%に達しています。
出典:JPラーニング「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書」
ドラッグストア併設薬局の営業時間
ドラッグストアは一般的に調剤薬局に比べて営業時間が長く、9時から20時・21時頃まで開店しており、土日祝日も営業している店舗が多くなっています。
ただし、重要な点として、厚生労働省の省令上、薬局の営業時間内は薬剤師等の専門家が常駐することが決められていますが、薬剤師の人手不足により、ドラッグストアやスーパーでは店舗全体と薬局部分で別々の営業時間を設定するところが多いのが現状です。
そのため、ドラッグストアが営業していても薬局部分が閉まっている場合があります。
病院薬局の勤務時間
病院勤務の薬剤師の勤務時間は、外来診療のみの病院やクリニックであれば午前8時から9時頃から17時・18時頃までが勤務時間となることが多い一方、入院施設や夜間救急がある病院では24時間調剤に対応できる体制が必要なため、薬剤師にも夜間勤務や当直が発生します。
薬剤師の勤務形態と働き方の実態
薬剤師の働き方は職場によって多様です。ここでは、主な勤務形態について解説します。
法定労働時間と薬剤師の実労働時間
労働基準法により、労働時間は原則として1日に8時間まで、1週間に40時間までと定められており、これを「法定労働時間」と言います。
出典:厚生労働省「現行の労働時間法制について」
薬剤師の残業時間
厚生労働省による「令和1年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の1月あたりの超過実労働時間数、つまり残業時間の平均は11時間でした。同じ医療系の職種では、医師の1月あたりの平均残業時間が15時間、看護師で7時間となっています。
固定制とシフト制の違い
固定制は、勤務する曜日や時間帯などがあらかじめ決まっている標準的な働き方で、1日8時間以内かつ1週間40時間以内の法定労働時間に準じて働きます。
一方、シフト制とは、例えば早番の日は9時出勤から17時退勤、遅番の日は12時出勤から20時退勤のように、日によって働く時間帯が変わる働き方です。ドラッグストアでは土日祝日を含むシフト制(早番・遅番など)で組まれるケースがほとんどとなっています。
変形労働時間制とフレックス制
変形労働時間制とは、時期によって労働時間が変わる勤務体系で、労働時間を月単位または年単位で考え、平均した労働時間が法定労働時間を超過しないように調整します。
フレックス制とは、働く人が自分で出勤時間や退勤時間を決めることができる制度で、薬剤師の場合は企業の研究職などでよく採用されています。
薬剤師として働く際の職場選びのポイント
薬剤師としてのキャリアを考える上で、勤務時間や働き方は重要な要素です。
ライフスタイルに合わせた職場選び
薬局は日曜・祝日が休日になることが多く、日曜や祝日は病院やクリニックが休診となるためです。一方、ドラッグストア勤務の薬剤師はシフト制であることが多く、休日の曜日も決まっていないことがほとんどです。
残業時間と業務負荷の確認
残業の有無は地域の医療機関の混雑具合によって異なります。医療機関で診療を受ける患者数が多い時期には、薬局の薬剤師も残業が発生する場合があります。
転職を検討する際は、実際の勤務時間や残業の実態、休日の取りやすさなど、詳細な情報を収集することが重要です。
まとめ
薬局の営業時間は施設の種類や立地によって大きく異なり、一般的な調剤薬局は18時から20時頃まで、ドラッグストアでは21時頃まで営業しているケースが多くなっています。
薬剤師の勤務時間も職場によって様々で、固定制やシフト制など多様な働き方があります。
夜間や緊急時には24時間対応の薬局や当番薬局を活用し、薬剤師としてのキャリアを考える際は、自身のライフスタイルに合った働き方ができる職場を選ぶことが大切です。
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田井 靖人
2013年摂南大学法学部を卒業後、不動産業界で土地活用事業に従事。
2019年から医療人材業界へ転身し、薬剤師と医療機関双方に寄り添う採用支援に携わる。
現在は薬剤師が“自分らしく働ける環境”を広げるべく、現場のリアルやキャリアのヒントを発信。
座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。どんな経験も糧に変え、薬剤師の未来を支える言葉を届けている。