薬剤師のキャリアパスとして注目される管理職。厚生労働省の調査によると、管理薬剤師の平均年収は約735万円と、一般薬剤師の約487万円と比較して248万円も高い水準です。しかし、高収入と引き換えに責任も重くなります。本記事では、管理職薬剤師になるための要件、具体的な仕事内容、メリット・デメリット、そして成功するためのポイントまで、キャリアアップを目指す薬剤師が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
薬剤師の管理職とは?一般薬剤師との違いを理解する
薬剤師の管理職には、主に「管理薬剤師」と「管理職(薬局長・薬剤部長等)」の2つの立場があります。それぞれの役割と責任、一般薬剤師との違いについて詳しく見ていきましょう。
管理薬剤師の定義と法的位置づけ
管理薬剤師とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)によって、医薬品を取り扱う薬局や店舗などに設置が義務づけられている責任者です。
厚生労働省の「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」では、管理薬剤師について「薬局等の管理を統括する責任者であり、薬事に関する法令を遵守して当該業務が遂行されることを確保するための重要な役割を有している」と定義されています。
引用:厚生労働省「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」
管理薬剤師は、薬局やドラッグストア、製造販売業、製造業などの各店舗・拠点ごとに配置が義務づけられており、医薬品の適切な管理と安全性確保の最終責任を担う立場です。
一般薬剤師との主な違い
一般薬剤師と管理薬剤師では、業務内容と責任の範囲が大きく異なります。
業務面での違い
- 一般薬剤師:調剤、服薬指導、医薬品販売などの実務が中心
- 管理薬剤師:上記に加え、従業員の監督・教育、医薬品管理、薬局開設者への意見申述など管理業務を担う
勤務形態の違い
- 一般薬剤師:パートや派遣、副業など柔軟な働き方が可能
- 管理薬剤師:原則として1つの施設で一定時間以上(一般的に1日8時間、週40時間程度)勤務する必要があり、薬剤師としての副業・兼業は原則不可
収入面での違い 厚生労働省の第24回医療経済実態調査によると、保険薬局における平均年収は以下の通りです。
- 管理薬剤師:734万8,725円(基本給648万2,871円+賞与86万5,854円)
- 一般薬剤師:486万4,287円(基本給417万9,122円+賞与68万5,165円)
両者の年収には約248万円の差があり、管理薬剤師は責任に見合った高い報酬が設定されています。
引用: 厚生労働省「第24回医療経済実態調査」
薬局長・薬剤部長などの管理職との違い
管理薬剤師と薬局長・薬剤部長は、必ずしも同じではありません。
管理薬剤師
- 法律で設置が義務づけられた役職
- 主に医薬品管理と法令遵守の責任を負う
- 店舗・拠点ごとに1名配置
薬局長・薬剤部長(管理職)
- 企業の組織上の役職
- 経営的視点での店舗運営、スタッフマネジメント、売上管理などを担う
- 管理薬剤師を兼任する場合も多い
病院では、薬剤部長や薬局長が管理薬剤師の役割を兼ねることが一般的です。調剤薬局やドラッグストアでは、管理薬剤師が実質的な管理職として機能している職場もあれば、管理薬剤師とは別に店長(管理職)がいる職場もあります。
管理薬剤師になるための要件と資格
管理薬剤師になるためには、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか。法的な要件と実務的なポイントを解説します。
法令で定められた基本要件
厚生労働省が令和3年に発表した「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」では、管理薬剤師になるための基本的な要件を次のように示しています。
原則的な要件
- 薬局における実務経験が5年以上あること
- 中立的かつ公共性のある団体(公益社団法人薬剤師認定制度認証機構など)の認証を受けた認定薬剤師であること
ただし、これらは推奨要件であり、法律によって定められた義務ではありません。実務経験5年未満の薬剤師を管理者として選任する場合は、「管理薬剤師として責任ある業務を行うために必要な能力および経験」を有していることが求められます。
その際は、「必要な能力および経験」をどう評価したのか、どういう理由で管理者にふさわしいと判断したのかについて、明確に説明できなくてはなりません。
認定薬剤師の資格取得について
認定薬剤師とは、薬剤師認定制度認証機構が認証した研修認定制度において、一定の研修を修了し、認定を受けた薬剤師のことです。
主な認定薬剤師制度
- 日本薬剤師研修センター「研修認定薬剤師」
- 薬剤師認定制度認証機構が認証する各種専門薬剤師・認定薬剤師
認定薬剤師になるには、所定の研修プログラムを受講し、一定の単位を取得する必要があります。多くの制度では、3年間で40単位程度の取得が求められます。
勤務形態に関する要件
管理薬剤師には、薬局や店舗を「実地に管理しなければならない」という義務があります。そのため、1つの施設で一定時間以上勤務する必要があります。
勤務時間の目安
- 1日あたり8時間勤務
- 1週あたりおよそ40時間勤務
明確な規定はありませんが、一般的にはこの程度の勤務時間が求められると判断されています。
兼業・副業の制限 原則として、管理薬剤師は1つの施設に限って勤務しなくてはならず、薬剤師としての兼業や副業は認められていません。
ただし、2019年3月に一部緩和され、以下の場合には兼務が許可されることとなりました。
- 薬局の営業時間外である夜間休日に、地域の輪番制の調剤業務に従事する場合
- へき地における薬局の管理者の確保が困難である場合
管理薬剤師の仕事内容を職場別に解説
管理薬剤師の業務は多岐にわたります。ここでは、法律で定められた4つの主要な責務と、職場別の具体的な業務内容を紹介します。
法律で定められた4つの主要業務
厚生労働省は、管理薬剤師が負うべき責務を明確に定めています。
1. 医薬品の管理業務
医薬品の適正な保管、品質チェック、在庫管理が主な業務です。
具体的な業務内容
- 医薬品の不備や品質のチェック
- 適正な保管環境の維持
- 期限切れ医薬品の廃棄
- 回収対象医薬品の在庫確認
- 麻薬・覚せい剤原料、向精神薬、指定薬物などの特別管理
- 届出・帳簿管理
医薬品と他の物品(医薬部外品、化粧品等)を適切に区別し、貯蔵・陳列する責任もあります。
2. 使用者への情報提供業務
医薬品に関する情報を適切に把握し、使用者に提供する義務があります。
具体的な業務内容
- 通常の服薬指導
- 医薬品に関するカウンセリング
- 副作用が出た場合の対応
- 回収対象となった医薬品に関する連絡・回収
- 副作用情報の収集と報告
この業務は管理薬剤師自ら行うか、他の薬剤師に行わせることも可能です。
3. 従業員の監督業務
他の薬剤師やスタッフが適切に業務を行っているかを監督し、必要に応じて指導します。
具体的な業務内容
- 医薬品の適切な管理状況の確認
- 患者への情報提供が十分かどうかのチェック
- 法令遵守状況の監督
- 改善が必要な点への助言・指導
- 従業員の教育・研修の実施
- シフト作成
- 業務マニュアルの作成
4. 意見申述の義務
薬局の運営や管理状況、保健衛生などに問題がある場合、現場責任者として薬局開設者(オーナーなど)に意見を伝える義務があります。
重要なポイント
- 意見は口頭ではなく、書面で行う必要がある
- 意見申述の記録として、書面を保管する責任がある
- 医薬品や設備に問題が発生した場合は、適切な対応を行うとともに意見申述する
引用:厚生労働省「管理薬剤師等の責務の内容について」
調剤薬局での管理薬剤師の仕事
調剤薬局の管理薬剤師は、前述の4つの責務に加えて、以下の業務を担います。
日常業務
- 通常の調剤業務(一般薬剤師と同様)
- 処方箋応需
- 服薬指導
- 在宅業務(店舗によって異なる)
管理業務
- 薬剤の在庫管理と発注
- 医薬品情報の収集と提供
- 薬剤師やスタッフの教育・指導
- シフト管理
- 薬局開設者への報告・意見申述
調剤薬局では、管理薬剤師も現場の調剤業務を担いながら管理業務を行うため、業務量が多くなる傾向にあります。
ドラッグストアでの管理薬剤師の仕事
ドラッグストアの管理薬剤師も、薬局の場合と同様の責務を負いますが、医薬品以外の商品管理にも関わることが特徴です。
医薬品関連業務
- OTC医薬品の販売・相談対応
- 調剤業務(調剤併設店舗の場合)
- 医薬品の在庫管理
- 医薬品と他商品の適切な区別・陳列
店舗運営業務
- 日用品、サプリメント、健康食品などの商品知識習得
- 店舗全体の商品管理への関与
- スタッフ教育(薬剤師以外も含む)
- 販売促進活動への参加
ドラッグストアでは、医薬品だけにとどまらない幅広い商品知識が求められます。
病院での管理薬剤師(薬局長・薬剤部長)の仕事
病院で働く管理薬剤師は、多くの場合「薬局長」や「薬剤部長」として、薬剤部全体の管理運営を担います。
医薬品管理業務
- 麻薬や毒薬、向精神薬などを含めた薬品の管理
- 院内医薬品の採用・削除の検討
- 医薬品情報の収集と提供
組織マネジメント
- 薬剤師スタッフの統括
- 若手薬剤師の教育・指導
- 院内委員会への参加
- 他職種との連携・調整
専門的業務
- 外来調剤・入院調剤の監督
- 注射薬調剤の管理
- 病棟薬剤業務の統括
- チーム医療への参画
病院での管理薬剤師は、調剤薬局では行わない業務も多く、医療チームの一員としての役割が大きくなります。
製薬企業・工場での管理薬剤師の仕事
医療用医薬品、医薬部外品、化粧品などを製造する工場にも、管理薬剤師の設置が義務づけられています。
主な業務内容
- 設備や医薬品の管理
- 医薬品の試験検査
- 製造過程の監督
- GMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)の遵守
- 各種許可申請の事務手続き
- 開設者への意見申述
- 工場内薬剤師の監督・指導
工場の管理薬剤師は、品質管理と安全管理を徹底し、GMPに基づいた厳格な管理が求められます。
管理薬剤師に求められるスキルと能力
管理薬剤師として成功するためには、専門知識だけでなく、幅広いスキルが必要です。ここでは、特に重要な5つの能力について解説します。
リーダーシップとマネジメント能力
管理薬剤師には、職場の薬剤師やスタッフを束ねるリーダー的な役割が求められます。
必要なリーダーシップ
- チーム全体の方向性を示す能力
- スタッフのモチベーションを維持・向上させる力
- 公平で適切な判断力
- 率先垂範の姿勢
マネジメント能力
- 薬剤師やスタッフの指導・育成
- 適切なシフト管理
- 業務の効率化と改善
- 経営面での数値管理(売上、在庫、人件費など)
- 目標設定と進捗管理
特に調剤薬局やドラッグストアでは、店舗の適切な運営をリードする経営的なマネジメント能力も重要です。
クレーム処理能力と問題解決力
管理薬剤師は、医薬品に関する相談や質問、苦情などに適切に対処する義務があります。
求められる能力
- 冷静な状況判断力
- 傾聴力
- 適切な説明能力
- 柔軟な対応力
- 迅速な意思決定力
自身が管理する薬局の処方や接客に対するクレームが寄せられた場合は、責任者として率先して対応する必要があるため、柔軟なクレーム処理能力が不可欠です。
コミュニケーションスキル
管理薬剤師は、さまざまな立場の人々と円滑にやりとりする必要があります。
コミュニケーション相手
- 患者さん(服薬指導、相談対応)
- 他の薬剤師やスタッフ(指導、調整)
- 処方医(疑義照会、情報交換)
- 取引先(医薬品卸など)
- 薬局開設者・経営者(意見申述、報告)
異なる立場や考え方、知識量を持つ人と接する機会が増えるため、相手に合わせたコミュニケーションをとる能力が求められます。
医薬品に関する専門知識
管理薬剤師は、一般の薬剤師や若手薬剤師から質問を受けたり、患者さんから相談を受けたりする機会が多くあります。
必要な知識
- 幅広い医薬品知識
- 最新の治療法に関する情報
- 副作用や相互作用の知識
- 法令・制度に関する知識
- 薬局経営のノウハウ
処方医から医薬品に関する相談を受けることもあるため、責任者として意見交換ができるよう、常に知識をアップデートしておくことが重要です。
情報収集能力と法令遵守意識
医学の進歩により、新しい治療法や新薬が次々に登場する一方、ジェネリック医薬品の供給不足なども発生しています。
情報収集のポイント
- 医薬品に関する最新情報の収集
- 法令改正への迅速な対応
- 業界動向の把握
- 副作用情報の収集と共有
- 医薬品回収情報への対応
管理薬剤師は、いかなるときも患者さんの利益につながる判断ができるよう、最新情報を収集・活用し、高い法令遵守意識を持つことが求められます。
管理薬剤師の年収と待遇
管理薬剤師の年収は、一般薬剤師と比較してどの程度高いのでしょうか。詳しいデータと待遇について見ていきましょう。
平均年収と一般薬剤師との比較
厚生労働省の第24回医療経済実態調査(令和4年実施)によると、保険薬局における薬剤師の平均年収は以下の通りです。
管理薬剤師
- 平均年収:734万8,725円
- 基本給:648万2,871円
- 賞与:86万5,854円
一般薬剤師
- 平均年収:486万4,287円
- 基本給:417万9,122円
- 賞与:68万5,165円
年収差 管理薬剤師と一般薬剤師の年収差は約248万円となっており、管理薬剤師は基本給、賞与ともに一般薬剤師より高い水準です。
国税庁の令和3年分民間給与実態統計調査による全国の平均年収443万円と比較しても、管理薬剤師の年収は約292万円高く、高水準であることがわかります。
引用:厚生労働省「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」
店舗数別の年収傾向
同調査では、薬局の店舗数別に管理薬剤師の平均給料・賞与がまとめられており、店舗数によって年収水準に違いがあることが示されています。
傾向
- 5店舗以下の薬局:年収水準が比較的高い傾向
- 大規模チェーン:安定した給与体系と福利厚生が充実
ただし、これは平均値であり、実際の年収は地域、企業、個人の経験・スキルによって大きく異なります。
管理職手当と待遇
多くの場合、管理薬剤師には役職手当が支給されます。
手当の一般的な金額
- 月額3万円〜10万円程度(企業によって大きく異なる)
その他の待遇
- 賞与の上乗せ
- 特別手当
- 社用車の貸与(企業によって異なる)
- 研修費用の補助
ただし、企業によっては管理職扱いとなり、残業代が支給されない場合もあるため、条件面の事前確認が重要です。
年収1000万円は目指せるのか
管理薬剤師として年収1000万円を達成することは、現実的には難しいケースが多いといえます。
年収1000万円を目指す方法
- 複数店舗を統括するエリアマネージャーへの昇進
- 経営陣への参画
- 独立開業(薬局経営者として)
- 製薬企業の管理職への転職
管理薬剤師の通常のキャリアパスでは700万円台が一般的な上限となることが多いため、年収1000万円を目指す場合は、さらなるキャリアアップが必要です。
管理薬剤師になるメリット
管理薬剤師になることで得られるメリットは、年収アップだけではありません。キャリア面、スキル面でのメリットを詳しく見ていきましょう。
大幅な年収アップの可能性
前述の通り、管理薬剤師になることで、一般薬剤師と比較して約248万円の年収アップが期待できます。
収入増のポイント
- 基本給の上昇
- 管理職手当の支給
- 賞与の増額
- 将来的な昇給の可能性
年収アップは、ライフプランの実現や経済的な安定につながる大きなメリットです。
キャリアアップと成長機会
管理薬剤師として働くなかで、一般の薬剤師とは異なる視点と経験を得ることができます。
得られる経験とスキル
- 医薬品に関する幅広い知識
- 正しい商品管理の方法
- 薬局運営に関する知識
- マネジメントスキル
- 経営的な視点
- リーダーシップ
- 法律・制度に関する深い理解
これらの経験は、薬剤師としての大きな自信につながり、将来のキャリアの選択肢を広げます。
転職市場での価値向上
管理薬剤師の経験は、転職市場において高く評価されます。
転職での優位性
- 管理薬剤師候補としての採用機会が増える
- 給与交渉がしやすくなる
- 業界・職種を超えた転職の可能性が広がる
- マネジメント経験を活かした企業への転職
マネジメントを経験した管理薬剤師は貴重な人材であり、薬局以外のさまざまな職場からの需要が見込めます。職場の選択肢が広がれば、より有利な条件で転職できる可能性もあります。
仕事へのやりがいと充実感
責任ある立場で働き、自身の知識・スキルを最大限に発揮することで、大きなやりがいを感じることができます。
やりがいのポイント
- 患者さんやスタッフから頼られる機会の増加
- 薬局全体の運営に関わる達成感
- 若手薬剤師の成長を見守る喜び
- 地域医療への貢献実感
- 現場のリーダーとしての責任感
他の薬剤師から助言を求められる機会も増え、現場のリーダーとして充実した働き方ができるはずです。
経営・独立開業への道
調剤薬局やドラッグストアでは、店舗運営・経営に関わる機会があり、薬局経営のノウハウや法律の知識が身につきます。
将来への展望
- 独立開業の実現可能性が高まる
- 経営ノウハウの習得
- 開業に必要な人脈形成
- 資金調達の知識獲得
将来的に独立開業を考えている薬剤師にとって、管理薬剤師の経験は非常に価値のあるステップとなります。
管理薬剤師のデメリットと注意点
高収入とやりがいが得られる一方で、管理薬剤師特有のデメリットや注意すべき点もあります。事前にしっかり理解しておきましょう。
仕事の負担と責任の増大
管理薬剤師は、管理職的な立場のため、仕事の負担と責任が重くなります。
業務負担の増加
- 一般薬剤師の業務に管理業務が追加される
- スタッフ不足時の穴埋め出勤
- 開局・閉局作業の責任
- 緊急時の対応
責任の重さ
- 医薬品事故の最終責任
- 法令違反のリスク
- クレーム対応の一次責任
- スタッフの監督責任
特に人員に余裕がない職場では、調剤業務と管理業務の両立に苦労し、「つらい」と感じる場面も出てくるでしょう。
副業・兼業の制限
薬機法の定めにより、管理薬剤師には副業や兼業が原則認められておらず、1つの職場にのみ従事する必要があります。
制限の内容
- 他の薬局でのパート勤務不可
- 薬剤師としての掛け持ち勤務不可
- 副業による収入増が困難
一般の薬剤師が2つの薬局を掛け持ちして高収入を得ているケースもありますが、管理薬剤師になるとこのような働き方はできなくなります。
長時間労働とワークライフバランスの課題
管理薬剤師は、薬局の運営全般に関わるため、一般の薬剤師よりも長時間労働になる傾向があります。
労働時間の問題
- 開局時間中は常に管理薬剤師が在籍する必要がある
- 人員不足時の残業増加
- 休日や夜間の対応を求められる場合もある
- シフト管理の都合上、休みが取りにくい
企業によっては管理職扱いとなり、残業代が支給されないケースもあります。ワークライフバランスの確保が難しくなる可能性があることを理解しておく必要があります。
調剤業務の減少
管理薬剤師になると、店舗管理や一般薬剤師の指導の業務が増加するため、調剤業務は減少することが多いです。
影響
- 調剤スキルの維持が困難になる可能性
- 最新の調剤技術から離れるリスク
- 患者対応の機会減少
調剤業務そのものにやりがいを感じている薬剤師にとっては、この点がデメリットになる可能性があります。
教育・研修機会の責任
管理薬剤師は教育を受ける側から教育する側になるため、自己研鑽の機会が減少する可能性があります。
注意点
- 自主的な学習姿勢が必要
- 最新知識の習得に時間を確保しにくい
- 専門性の深化が困難になる可能性
常に最新の医薬品知識や治療法を学び続ける意識が重要です。
管理薬剤師を目指す方法
管理薬剤師にステップアップするためには、どのようなアプローチがあるのでしょうか。具体的な方法と成功のポイントを解説します。
まずは明確な意思表示を
管理薬剤師を目指したいなら、施設の経営者や上司などに「管理薬剤師をやりたい」という明確な意思表示をしておくことが重要です。
意思表示のメリット
- 管理薬剤師候補として認識される
- 必要な経験を積む機会が与えられやすい
- 研修やサポートを受けやすくなる
- キャリアプランを一緒に考えてもらえる
管理職のポストには限りがあるため、早めに意欲を示しておくことで、チャンスを掴みやすくなります。
現職場での内部昇進を目指す
現在勤めている職場で薬剤師としての経験を重ね、内部昇進とともに管理薬剤師のポストにつく方法です。
内部昇進のメリット
- 職場環境を熟知している
- 上司がロールモデルとなる
- 認定薬剤師取得のサポート制度を活用しやすい
- 段階的にスキルアップできる
成功のポイント
- 日々の業務で高いパフォーマンスを発揮する
- 積極的に責任ある仕事に取り組む
- 後輩の指導・教育に関わる
- 認定薬剤師の資格取得に励む
- 店舗異動にも柔軟に対応する
管理薬剤師候補には様々な経験を積ませる必要があるため、チェーン薬局の場合は店舗異動が必須となることもあります。
転職で管理薬剤師を目指す
管理薬剤師候補としての転職や、直接管理薬剤師として採用される方法です。
転職のメリット
- すぐに管理薬剤師として働ける可能性
- より良い条件を選べる
- 新しい環境でキャリアをスタートできる
転職が有効なケース
- 現職場に管理薬剤師のポストに空きがない
- 年長の薬剤師が多く、昇進が見込めない
- より良い条件を求めたい
- 管理薬剤師の要件(経験5年以上、認定薬剤師)を満たしている
薬剤師関連の求人では、管理薬剤師の中途採用は決して少なくありません。条件の合う職場が見つかったら、思い切って転職するのも有効な選択肢です。
必要なスキルと経験を計画的に積む
管理薬剤師に必要なスキルを計画的に習得していくことが重要です。
習得すべきスキル
- 幅広い医薬品知識
- マネジメントスキル
- コミュニケーション能力
- 問題解決力
- 法令知識
経験を積む方法
- 後輩薬剤師の指導を積極的に行う
- 在庫管理など管理業務に関わる
- 店舗の問題点を見つけ改善提案する
- 外部研修や勉強会に参加する
- 認定薬剤師の資格取得に取り組む
転職で管理薬剤師を目指す際の注意点
転職によって管理薬剤師へのステップアップを目指す場合、事前に確認しておくべきポイントがあります。
業務内容と役割の明確化
一口に管理薬剤師と言っても、現場で担う役割は業種や企業によって異なります。
確認すべきポイント
- 具体的な業務内容
- 職務権限の範囲
- 教育義務の内容と範囲
- 管理する店舗・スタッフの規模
- 調剤業務との兼務状況
病院の場合は薬剤部長や薬局長など、管理職としての勤務になることもあるため、実際にどのような業務なのかを事前に確認しましょう。
労働条件と待遇の詳細確認
給与だけでなく、労働条件全体をしっかり確認することが重要です。
確認すべき労働条件
- 基本給と各種手当の内訳
- 残業代の有無(管理職扱いの場合は要注意)
- 賞与の支給基準
- 有給休暇の取得実績
- 勤務時間と休日
- シフト制の詳細
待遇面の確認
- 昇給制度
- 退職金制度
- 福利厚生の内容
- 研修費用の補助
- 住宅手当や通勤手当
企業によっては管理職扱いとなり残業代が出ないこともあるため、実質的な年収がどうなるかを計算することが大切です。
研修制度とサポート体制
管理薬剤師としての業務経験がない場合、研修制度の有無や内容を確認しましょう。
確認ポイント
- 管理薬剤師向けの研修プログラムの有無
- 研修期間と内容
- OJTの実施状況
- 相談できる上司やメンターの存在
- 継続的な学習支援
管理薬剤師の中途採用を行っている企業の中には、経験がない方のために充実した研修制度を用意しているところもあります。
薬剤師の在籍数と職場環境
職場における薬剤師の人数も重要な確認項目です。
在籍数の確認が重要な理由
- 人員に余裕がない職場では、残業や休日出勤が多くなる
- 管理業務と調剤業務の両立の可否
- 急な欠勤時の対応負担
- 教育・指導の時間確保
薬剤師が極端に少ない職場では、調剤業務から管理業務まで一人でこなすことになり、過度な負担となる可能性があります。
まとめ
管理薬剤師は、薬局やドラッグストアなどで法的に設置が義務づけられた責任者であり、一般薬剤師と比較して約248万円高い平均年収735万円という高水準の収入を得ることができます。厚生労働省のガイドラインでは、原則として薬局での5年以上の実務経験と認定薬剤師の資格が推奨されていますが、これらは必須要件ではありません。仕事の負担や責任は重くなりますが、キャリアアップ、スキル向上、転職市場での価値向上など多くのメリットがあります。管理薬剤師を目指す方は、明確な意思表示と計画的なスキル習得が成功のカギとなります。当社の薬剤師転職支援サービスでは、管理薬剤師候補の求人を多数取り扱っており、専任コンサルタントがあなたのキャリアアップをサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。
まずはキャリアの可能性を知る相談から
キャリア相談・面談依頼はこちらから
田井 靖人
2013年摂南大学法学部を卒業後、不動産業界で土地活用事業に従事。
2019年から医療人材業界へ転身し、薬剤師と医療機関双方に寄り添う採用支援に携わる。
現在は薬剤師が“自分らしく働ける環境”を広げるべく、現場のリアルやキャリアのヒントを発信。 座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。どんな経験も糧に変え、薬剤師の未来を支える言葉を届けている。