薬剤師の年収が上がらない理由は何?収入アップを実現する方法

薬剤師 年収 上がらない

薬剤師として働いているものの、「年収が思ったように上がらない」「初任給から給料がほとんど変わらない」と感じていませんか。6年間の薬学教育と国家試験を経て取得した資格にもかかわらず、給与の伸び悩みに不安を感じる薬剤師は少なくありません。本記事では、薬剤師の年収が上がらない根本的な理由を明らかにし、具体的な収入アップの方法を職場別に解説します。

薬剤師の年収が上がらない7つの理由

 

薬剤師の年収が上がりにくいと感じるのには、明確な理由があります。ここでは、多くの薬剤師が直面する収入面の課題について、データに基づいて解説します。

初任給は高いが昇給幅が小さい

厚生労働省が公表している「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は599万3,200円で、全産業の平均年収を上回る水準にあります。

出典:令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

しかし、年代別に見ると20代後半で約470万円だった年収が、30代後半では約648万円となり、その後40代前半では約624万円と一時的に下降する傾向が見られます。これは、薬剤師の給与体系が初任給を高めに設定する一方で、その後の昇給幅が限定的であることを示しています。

役職ポストが限られている

調剤薬局や病院では、管理薬剤師や薬剤部長といった管理職のポストが限られており、昇進による年収アップの機会が少ない環境にあります。小規模な調剤薬局では管理薬剤師が1名のみというケースも多く、そのポストが空かない限り昇格できません。

厚生労働省の「第24回医療経済実態調査の報告(令和5年実施)」によると、調剤薬局で働く常勤職員のうち、一般薬剤師の平均年収が486万4,287円であるのに対し、管理薬剤師の平均年収は734万8,725円と、約250万円の差があります。

出典:第24回医療経済実態調査の報告(令和5年実施)|厚生労働省

しかし、このポジションに就けるかどうかは、先輩薬剤師の在籍状況に大きく左右されます。

職場による給与格差が大きい

薬剤師の年収は、働く職場によって大きな差があります。一般的に、病院薬剤師の年収は他の職場と比較して低い傾向にあり、特に若い世代ではその差が顕著です。

厚生労働省の資料「薬剤師の偏在への対応策」によると、常勤の病院薬剤師の中央値が20代で約380万円、30代で500万円であるのに対し、薬局薬剤師はそれぞれ約430万円、530万円と、若手の段階で50万円程度の差が生じています。

出典:薬剤師の偏在への対応策|厚生労働省

ただし、65歳まで常勤で働くことを想定した生涯年収で比較すると、病院薬剤師が約2億3,280万円、薬局薬剤師が約2億2,768万円となり、その差は512万円とわずかです。

地域による年収格差の存在

薬剤師の年収は、勤務する地域によっても大きく異なります。同じ厚生労働省の調査によると、都道府県別の薬剤師平均年収では、最高額と最低額の間に約250万円の差が生じています。

一般的に、薬剤師が不足している地方では高い年収が提示される傾向にありますが、都市部では薬剤師の供給が多いため、相対的に年収が低くなりがちです。このような地域格差が、「同じ薬剤師なのに年収に差がある」という不満につながっています。

専門性が評価されにくい給与体系

薬剤師の業務は高度な専門知識を要するにもかかわらず、その専門性が給与に十分反映されていないケースがあります。認定薬剤師や専門薬剤師などの資格を取得しても、職場によっては資格手当が支給されなかったり、手当があっても月数千円から2万円程度にとどまることが多いのが現状です。

また、在宅医療や高度な薬物療法に携わっても、それに見合った報酬が得られないこともあり、スキルアップへのモチベーションが下がる要因となっています。

調剤報酬改定の影響

調剤薬局の経営は調剤報酬に大きく依存しており、2年ごとに実施される調剤報酬改定の内容によって、薬局の収益や薬剤師の待遇に影響が出ることがあります。特に、技術料の引き下げや薬価の見直しによって、薬局の経営が圧迫されると、薬剤師の昇給が見送られたり、賞与が減額されたりする可能性があります。

残業代や手当の少なさ

病院や調剤薬局では、残業が発生してもサービス残業として処理されたり、正確に残業代が支払われなかったりするケースも存在します。また、住宅手当や家族手当などの福利厚生が充実していない職場では、基本給以外の収入が限定的となり、総収入が伸び悩む要因となっています。

医師や他職種と比較した薬剤師の年収

 

薬剤師の年収を他の医療職種と比較すると、その相対的な位置づけが明確になります。

医師・歯科医師との比較

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収は1,338万100円、歯科医師は1,135万5,200円となっています。薬剤師の599万3,200円と比較すると、医師とは約740万円、歯科医師とは約536万円の差があります。

出典:令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

同じ6年制の大学教育を受け、国家資格を取得するという点では共通していますが、医師は診断と治療という中心的な役割を担い、開業医の場合は経営者としての収入も得られるため、年収に大きな差が生じています。

看護師や他の医療職との比較

一方、同じ医療職種である看護師と比較すると、看護師の平均年収は519万7,000円で、薬剤師は約80万円上回っています。臨床検査技師は504万3,400円、診療放射線技師は549万8,500円となっており、薬剤師は医療職の中では比較的高い年収水準にあることがわかります。

ただし、助産師は580万5,600円と薬剤師に近い水準であり、医療職全体で見ると薬剤師の年収は中間層に位置しています。

薬剤師が年収を上げるための7つの具体的方法

 

年収が上がりにくい環境にある薬剤師でも、戦略的にキャリアを築くことで収入アップは十分に可能です。ここでは、実践可能な7つの方法を解説します。

管理薬剤師・管理職を目指す

最も確実な年収アップの方法は、管理薬剤師や管理職へのキャリアアップです。前述の通り、一般薬剤師と管理薬剤師では約250万円の年収差があり、管理職手当や業務範囲の拡大により、大幅な収入増が期待できます。

管理薬剤師になるには、現在の職場で経験を積むことが基本ですが、ポストが空いていない場合は、管理薬剤師候補として転職する方法も有効です。特に新規開局する薬局では、管理薬剤師の募集が多く、好条件で採用されるチャンスがあります。

認定薬剤師・専門薬剤師の資格を取得する

認定薬剤師や専門薬剤師などの資格取得は、専門性を高めるとともに、資格手当による収入アップにつながります。特に、がん専門薬剤師や感染制御専門薬剤師などの高度な資格は、病院や専門薬局で評価が高く、転職市場でも有利に働きます。

また、認定薬剤師の資格は、かかりつけ薬剤師として活動するための要件にもなっており、かかりつけ薬剤師指導料の算定により、薬局の収益向上に貢献できるため、昇給や賞与に反映されやすくなります。

年収の高い職場へ転職する

職場を変えることで、大幅な年収アップが実現できる場合があります。特に、ドラッグストアの調剤併設店舗や製薬企業のMR職は、年収水準が高い傾向にあります。

また、大手調剤薬局チェーンでは、全国転勤可能な総合職として採用されると、地域限定職よりも高い年収が提示されることが多く、転勤手当や住宅補助も充実しています。転職を検討する際は、基本給だけでなく、賞与や各種手当を含めた総年収で比較することが重要です。

薬剤師不足の地域で働く

地方や離島などの薬剤師不足地域では、人材確保のために高い年収が提示されています。首都圏の調剤薬局では年収450万円程度の求人が多い中、地方では同じ経験年数でも年収550万円以上の求人が見られることがあります。

ただし、生活環境の変化や家族の理解が必要となるため、長期的なキャリアプランと併せて検討する必要があります。

派遣薬剤師として働く

派遣薬剤師は時給制で働くことが多く、正社員よりも高い時給が設定されています。時給3,000円以上の求人も珍しくなく、フルタイムで働けば年収600万円以上を得ることも可能です。

ただし、雇用が不安定であることや、賞与や退職金がないことがデメリットとなるため、ライフステージに応じて選択することが大切です。

副業・ダブルワークを行う

薬剤師資格を活かした副業として、休日にドラッグストアや調剤薬局でアルバイトをする方法があります。時給2,000円以上の求人が多く、週1日勤務でも月8万円程度の追加収入が見込めます。

ただし、管理薬剤師や公務員薬剤師は副業が制限されている場合が多いため、就業規則を確認する必要があります。また、メディカルライターなどの在宅ワークも、薬剤師の専門知識を活かせる副業として注目されています。

独立開業を目指す

自分の薬局を開業することで、経営者としての収入を得ることができます。成功すれば年収1,000万円以上も可能ですが、開業資金や経営ノウハウが必要となり、リスクも伴います。

開業を目指す場合は、まず管理薬剤師としての経験を積み、経営や人材管理について学んでおくことが重要です。

職場別の年収アップ戦略

 

薬剤師の年収アップ戦略は、勤務先によって異なるアプローチが必要です。ここでは、主要な3つの職場における具体的な戦略を解説します。

調剤薬局での年収アップ戦略

調剤薬局で年収を上げるには、まず管理薬剤師を目指すことが基本です。管理薬剤師として実績を積んだ後は、エリアマネージャーや本部スタッフへのキャリアアップも視野に入れましょう。

また、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得し、専門性の高い薬物療法や在宅医療に携わることで、薬局の収益向上に貢献できれば、評価につながります。特に、在宅医療に力を入れている薬局では、訪問薬剤管理指導の実績が昇給や賞与に反映されやすい傾向があります。

さらに、複数の医療機関からの処方箋を応需している薬局や、大手チェーンの薬局では、キャリアパスが明確に示されていることが多く、計画的なキャリアアップが可能です。

ドラッグストアでの年収アップ戦略

ドラッグストアでは、薬剤師としてだけでなく、店舗運営や販売管理のスキルも評価されます。店長やエリアマネージャーへの昇進により、年収を大きく伸ばすことができます。

調剤併設型のドラッグストアでは、調剤業務と OTC販売の両方に対応できる薬剤師が重宝され、幅広い知識とスキルを身につけることで、昇進や年収アップのチャンスが広がります。

また、全国展開しているドラッグストアチェーンでは、転勤を前提とした総合職として働くことで、高い年収と早期のキャリアアップが期待できます。

病院薬剤師での年収アップ戦略

病院薬剤師の場合、専門資格の取得が年収アップの鍵となります。がん専門薬剤師や感染制御専門薬剤師などの高度な資格を取得し、チーム医療の中心的な役割を担うことで、評価が高まります。

また、大学病院や公立病院では、定期昇給制度が整っており、勤続年数に応じた着実な年収アップが見込めます。薬剤部長などの管理職に就くことで、年収700万円以上も目指せます。

さらに、病院での臨床経験は、製薬企業や調剤薬局への転職時に高く評価されるため、将来的なキャリアチェンジを視野に入れた経験の蓄積も重要です。

年収アップを実現するための転職活動のポイント

 

転職によって年収を上げるには、戦略的なアプローチが必要です。

まず、複数の転職エージェントに登録し、幅広い求人情報を収集しましょう。薬剤師専門の転職サイトでは、非公開求人や高年収求人の紹介を受けられるため、効率的な転職活動が可能です。

年収交渉では、現在の年収だけでなく、自分のスキルや実績を具体的にアピールすることが重要です。管理薬剤師の経験や専門資格、在宅医療の実績などは、交渉材料として有効です。

また、基本給だけでなく、賞与の支給実績や各種手当、福利厚生の内容も確認し、総合的な条件で判断することが大切です。特に、住宅手当や家族手当、資格手当の有無は、実質的な手取り額に大きく影響します。

よくある質問

薬剤師の年収は本当に上がらないのですか?

薬剤師の年収は、職場や働き方によって上がりにくい場合がありますが、適切な戦略を立てることで年収アップは十分に可能です。管理職への昇進、資格取得、転職などの方法を組み合わせることで、着実に収入を増やすことができます。

何年働いても年収が変わらない場合はどうすればよいですか?

同じ職場で何年働いても年収が変わらない場合は、転職を検討する時期かもしれません。薬剤師の転職市場は活発で、経験者は歓迎される傾向にあります。まずは薬剤師専門の転職サイトに登録し、自分の市場価値を確認してみることをおすすめします。

認定薬剤師の資格を取得すると、どのくらい年収が上がりますか?

認定薬剤師の資格手当は職場によって異なりますが、一般的には月1万円から2万円程度が多く、年間で12万円から24万円の収入増となります。ただし、資格手当のない職場もあるため、転職時には資格支援制度の有無も確認しましょう。

まとめ

 

薬剤師の年収が上がらない背景には、昇給幅の小ささ、限られた役職ポスト、職場や地域による格差など、構造的な要因があります。しかし、適切な戦略を持ってキャリアを築くことで、年収アップは十分に実現可能です。

管理職を目指す、専門資格を取得する、年収の高い職場に転職するなど、自分に合った方法を選択し、計画的に行動することが重要です。また、職場別の特性を理解し、それぞれに適した年収アップ戦略を実践することで、より効果的な結果が得られます。

年収に不満を感じている薬剤師の方は、まず自分の現状を客観的に分析し、具体的な目標を設定することから始めてみてください。薬剤師転職支援サービスでは、キャリアアドバイザーが個別の状況に応じた最適なキャリアプランを提案しています。無料相談を活用し、理想の働き方と年収の実現に向けて、第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

まずはキャリアの可能性を知る相談から

キャリア相談・面談依頼はこちらから
監修 薬進キャリアサポート代表エージェント
キャリアコンサルタント

田井 靖人

2013年摂南大学法学部を卒業後、不動産業界で土地活用事業に従事。
2019年から医療人材業界へ転身し、薬剤師と医療機関双方に寄り添う採用支援に携わる。
現在は薬剤師が“自分らしく働ける環境”を広げるべく、現場のリアルやキャリアのヒントを発信。 座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。どんな経験も糧に変え、薬剤師の未来を支える言葉を届けている。

>まずはキャリアの可能性を知る相談から

まずはキャリアの可能性を知る相談から